地域医療における糖尿病診療の中心的役割を担っています
私は1996年に埼玉医科大学を卒業後、本学附属病院へ臨床研修医として入職し、研修修了後に大学院医学研究科へ進学しました。専攻は臨床医学系内科学 代謝・内分泌内科を選択し、大学院生とはいえ実際は病棟での臨床経験を積みながら、研究を進める日々を過ごしました。学位を修得後、糖尿病専門医・研修指導医として病棟、外来で様々な患者さんと出会い、症例経験を積ませて頂きましたが、脳梗塞、狭心症、心筋梗塞、足壊疽や癌などの疾患で苦しむ方々には多くの場合、基礎疾患として糖尿病が存在することを痛感しました。「多くの病を生み出す糖尿病を徹底的に治療したい」そんな思いを胸に研鑽を積んで参りました。
さて、私の両親は横浜で開業医として地域医療に従事しておりました。父は整形外科、母は小児科・内科を標榜し、母は85歳を超えましたが現役院長として外来診療を続けています。流石に地域医療の高齢化を見過ごす訳にもいかず、2014年3月に大学を退職し、同年8月に地元の横浜市南区に糖尿病療養の専門クリニックを開設しました。開業後6年が過ぎましたが、基幹病院を除くクリニック(無床診療所)の糖尿病専門医は私を含め3人だけです。そこで看護師のほか管理栄養士、臨床検査技師を複数配置し、2型糖尿病治療の基本である食事・栄養指導を積極的に展開するとともに、頸動脈、心臓および腹部超音波検査を定期的に実施し、合併症の定期評価を怠らないように心がけています。その甲斐あって、大学病院、地域基幹病院の糖尿病専門医の先生方から積極的に病診連携を推進して頂き、地域における糖尿病診療のレベル向上を図るべく研鑽を積む日々が続いています。大学で代謝・内分泌内科を専攻し、日々積み重ねた経験が今、地域における糖尿病診療の推進に微力ながら貢献できている事を嬉しく思っています。また、医師会活動は地域医療に欠かせない重要な活動であり、学校医として年1回の健診、健康相談等に対応するほか、昨年末から深刻な問題となっているCOVID-19に対しても定期的な対策本部会議を開催し、行政と協働して対応を進めています。
昨今、糖尿病患者さんの高齢化、糖尿病治療薬の相次ぐ新薬発売など、糖尿病の療養環境は目まぐるしく変化しており、糖尿病専門医のニーズはますます高まっています。一人でも多くの若い先生方がこの分野で活躍されます事を願っています。