本教室について

母性内科・糖尿病外来

妊娠中は母体から胎児にエネルギー源としてブドウ糖を供給するため、胎盤からインスリン拮抗ホルモン(インスリンの働きを弱めてしまうホルモン)が分泌され、血糖値が上昇しやすくなります。妊娠中の高血糖は母児に様々な影響を及ぼすため、食事療法やインスリン療法を行い血糖値の管理をします。

2023年7月より、糖尿病を合併した妊婦さん、妊娠中に妊娠糖尿病を診断された妊婦さんのための外来、『母性内科・糖尿病外来』が始まりました。産科・婦人科外来で産科の医師や助産師と連携して診療に当たります。

外来診療時間

月 午後 13:00~15:00
木 午後 13:00~15:00
金 午後 13:00~15:00

外来の場所

病院本館3階産科・婦人科外来

受付・受診方法

受診いただけるのは当院産科通院中の妊婦さんです。産科受診後に当外来を受診していただけます。
*母性内科・糖尿病外来が受診できない場合は妊婦検診に合わせて、代謝・内分泌内科外来への通院も可能です。

妊娠糖尿病

妊娠中にはじめて発見または発症した、糖尿病に至っていない糖代謝異常です。
家族に糖尿病の人がいる場合、太っている人、高齢出産の人、大きな赤ちゃんを出産したことがある人などは妊娠糖尿病になりやすく注意が必要です。
妊娠糖尿病は妊娠中に行った75gブドウ糖負荷試験で下記の基準を満たすと診断されます。
治療の基本は食事療法です。赤ちゃんが健康に育つのに必要なカロリーを、栄養のバランスを考え摂取しましょう。管理栄養士からの食事指導も受けられます。
妊娠糖尿病になった人は、将来、本当の糖尿病になりやすいと言われています。出産後は代謝・内分泌内科外来で血糖検査を行い、経過をみます。健康的な生活を継続し、定期的に血糖値の検査を受けましょう。

75gブドウ糖負荷試験による妊娠糖尿病の診断基準

空腹時血糖値 92 mg/dL以上
負荷後1時間値 180 mg/dL以上
負荷後2時間値 153 mg/dL以上

以上の3項目のうち1項目以上あてはまる場合に診断されます。

糖尿病合併妊娠

妊娠する前から糖尿病が診断されていた人が妊娠した場合です。妊娠初期の血糖コントロールが不十分だと流産や児の先天異常のリスクが高まります。また、妊娠中は母体の網膜症や腎症が悪化することがあります。妊娠に適した状態であることを確認してから、計画的に妊娠することが必要です。妊娠中は母児合併症を防ぐため、厳格な血糖コントロールが必要です。

母体にみられる主な合併症

糖尿病に関連する合併症 産科的な合併症
糖尿病網膜症の悪化 流産
糖尿病性腎症の悪化 流産
糖尿病性ケトアシドーシス 羊水過多症
低血糖(インスリン使用時) 早産
感染症 巨大児による難産

子供にみられる主な合併症

胎児期 新生児期 小児期
先天異常 低血糖症 肥満
巨大児 高ビリルビン血症 糖尿病
子宮内胎児死亡 多血症 メタボリック症候群
  低カルシウム血症  
  呼吸障害  

糖尿病を有する女性の妊娠に適した状態

血糖コントロール HbA1c 6.5%未満
網膜症 合併なし
良性網膜症に安定
腎症 腎症第1期(腎症前期)
腎症第2期(早期腎症期)
eGFR 60mL/分/1.73m2以上

妊娠中の血糖コントロール目標

空腹時血糖値 <95 mg/dL
食後血糖値 1時間 <140 mg/dL
または
2時間 <120 mg/dL
HbA1c <6.0~6.5%